<為替> ユーロと英ポンドが最近の安値水準を割り込んだのに伴い、ドルが上昇した。主要通貨に対するドル指数<.DXY>は、前日発表された住宅関連指標が追い風となり一時80.581と8週間ぶりの高値に上昇。終盤は0.27%高の80.566となっている。

スコシア・キャピタルの通貨ストラテジスト、カミラ・サットン氏は「この日の取引は小幅な増加にとどまったが、ユーロとポンドの値動きは大きかった。誰もが年初に予想していたドルの上昇が現在、見えているのかもしれない」とみている。 同氏によると、この日の世界の投資家の焦点は債券市場だった。10年物米国債利回りは11カ月ぶりの低水準となる2.434%に低下。30年物米国債利回りもこの1年近く見られなかった水準に下がった。

<債券> 米指標10年債利回りが約11カ月ぶりの水準に低下した。独連邦債の利回り低下に追随したほか、月末を控えた機関投資家の買いも支援した。

独10年債<DE10YT=TWEB>利回りは、年初来の低水準となる1.29%に低下した。弱い経済指標を受けて、欧州中央銀行(ECB)が来週開催の理事会で追加緩和策を講じるとの見方が強まったことが追い風となった。5月の独失業者数は市場予想に反し増加し、過去5年で最大の増加数となったほか、4月のユーロ圏マネーサプライM3伸び率は前年比0.8%と、前月から伸びが鈍化した。

今月は10年、30年債が新たに供給されることもあり、月末を控えデュレーションの長期化を目的とする取引が膨らんだことも相場を支援した。

<株式> 小反落。主要な経済指標の発表がなくテクニカル面に焦点が当たる格好となった。S&Pは3日連続の終値ベースでの過去最高値更新はならず、5営業日ぶりに下落して引けた。

USバンク・ウェルス・マネジメントのチーフ株式ストラテジスト、テリー・サンドベン氏は「4営業日続伸し、幅広い銘柄が過去最高値かそれに近い水準を付けたことで市場は値固め局面に入っており、当面は動きの乏しい展開になるだろう」と述べた。 S&Pが過去最最高値水準で推移して景気回復を示唆する一方、米国債利回りは低下傾向が続いて景気に対する慎重な見方を裏付けており、市場は「二重人格」的な様相を呈しているという。 ダウ運輸株指数<.DJT>はザラ場での最高値を更新し、終値も過去最高値となった。景気の先行指標である運輸株指数の上昇は、米景気と株式市場にとって明るい兆しとなっている。

<金先物> 3日続落。ドル高による割高感や、前日の大幅下落を受けた追随売りやテクニカル要因の売りも下押しした。終盤にかけては若干値を戻した。

<米原油先物> 続落。在庫積み増し予想を背景に売り込まれた。