目ぼしい成長戦略は見当たらず、日銀追加緩和期待も後退。消費増税への警戒感が広がる中で、企業業績も減速する懸念が出てきている。アベノミクスへの期待感が後退するなか、昨年、日本株を15兆円買った外人投資家が今年に入って2兆円以上売り越しに転じている。機関投資家、個人投資家ともに、国内勢は依然として日本株に慎重な姿勢を崩していない。

<大きく変化した米金融政策への市場認識>

日本株への影響という点に関しては、世界の投資環境で1年前と最も変わったのは、米金融政策に対する見方だろう。

昨年はバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言で、米金融緩和の早期縮小観測が強まったことが、日本だけでなく世界の株式市場が大きく調整に入った背景だった。その後、テーパリング(量的緩和縮小)は開始されたが、現在は早期の利上げ観測はむしろ後退。投資家はシナリオの再構築を迫られている。

早期米利上げ観測の後退はリスク資産市場にはプラスだが、日本株にとっては相対的に不利な環境となる。早期米利上げ観測の後退は米金利を低下させ、対ドルで円高の要因になるためだ。