ただ、マーケットの認識が早期利上げなしとの方向にやや傾き過ぎているとの指摘もある。米経済指標をみる限り、寒波の影響を脱し、総じて順調に回復しつつある。潜在成長率低下への懸念もあるが、このまま順調に経済が回復していけば、「出口」論も浮上するとみられている。そうなれば、日本株が出遅れを修正するきっかけになり得るだろう。

SMBC日興証券シニアマーケットエコノミストの嶋津洋樹氏は4月29─30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨について、FRBメンバーがかなり米景気に楽観的だったとの印象を受けたと話す。「FRBが出口戦略に着手するタイミングは一般に想定されているよりも前倒しになる可能性が高い」とみている。

昨年5月23日に、株売りのきっかけとなったのは、マークイット/HSBCが同日発表した5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値だった。市場予想を下回ったことで中国の景気減速懸念が広がり、日経平均の下げ幅は1143円まで広がった。

だが、今年は反対に買い材料となった。景気判断の分かれ目である50は下回ったものの、5カ月ぶりの高水準となったことで、日経平均<.N225>の上げ幅は200円を超えた。中国の景気減速念が消えたわけではなく、不安としては昨年よりも大きいぐらいだが、日本株の水準も低いだけにポジティブな材料に反応しやすくなっている。