<為替> 20日終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが対円で5営業日続落した。世界経済の先行き不透明を反映して米国債利回りが低下傾向を続け、ドルの重しになった。投資家は米住宅市場や中国経済の見通しに懸念を抱いている。ある市場関係者は「ドル/円と米国債利回りの間の強い相関関係が引き続き相場を動かす主な要因になっている。その一因は世界経済の健全性をめぐる懸念の再燃にある」と指摘した。
<債券> 国債価格が上昇。ニューヨーク連銀のダドリー総裁が、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースは「比較的遅くなる」公算が大きいと発言したことが支援した。また、さえない企業決算を受け、債券の逃避買いが広がった。ディスカウント衣料小売のTJX<TJX.N>や事務用品ステープルズ<SPLS.O>が同日発表した決算が振るわず、米株価が下落したことで、資金が債券市場にシフトした。また、25日に大統領選を控えているウクライナをめぐり地政学的緊張が高まっていることも、米債への逃避買いにつながった。
<株式> 幅広い銘柄に売りが出て反落した。事務用品販売大手ステープルズやディスカウント衣料小売り大手TJXの決算が期待外れの結果となったことで、午後に入って小売関連銘柄主導で下げ幅を拡大した。今四半期の売上高が減少するとの見通しを示したステープルズ<SPLS.O>は12.6%下落。S&P小売り株指数<.SPXRT>は1%下げた。
重機のキャタピラー<CAT.N>は3.6%安。4月までの3カ月間で小売店での売上高が13%減少したと発表した。
<金先物> 20日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場 は、米株安を背景に買われた半面、金需要の見通しに警戒感が広がり、小幅高で終了した。 寄り付き直後に安値まで急落したが、下値は堅く、すぐに買い戻された。米株価の急落 を背景に投資家らのリスク回避の動きが強まる中、安全資産として金が物色された。 ワールド・ゴールド・カウンシルは同日、中国の金の消費者需要が2014年第1四半 期中に18%、インドが26%それぞれ減少したと発表。これを受けて、世界の金需要の 行方に不安が広がり、売りを誘った。
<米原油先物> 20日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場 は、強弱材料を眺めて売り買いが交錯し、方向感に乏しい展開となった。この日納会を迎 えた米国産標準油種WTIの6月物は、前日比0.17ドル安で終了。7月物は0.22ドル高の102.33ドルで引けた。 午前中はやや売りが優勢な展開。一方、安値圏ではリビア情勢の悪化が相場を支えた。また、ウクライナでも25日の大統領選を前に緊張感が高まっており、 対ロシア制裁が強化された場合、欧州向けの原油・天然ガス供給に支障が生じるとの懸念 がくすぶった。