東証1部のPERは14倍台、配当利回りは1.7%と割安感はあるが、水準訂正の動きは乏しい。ほぼ出揃った国内企業の15年3月期見通しは、前期の上振れ分を考慮しても2ケタ増益を見込んでいたアナリスト予想に届かず、全体相場を押し上げるには迫力に欠ける。最高値近辺にある欧米株と比べた出遅れ感が解消されるには材料が必要だが、そのきっかけが見当たらないのが現状だ。

<7月緩和を織り込む動きも>

一方、虎視眈々と次なる日本株の収益機会を狙う投資家もいるようだ。日経平均VI先物<0#JNV:>の期間構造をみると、9月よりも7、8月のほうが値が大きい。7月には、4月に実施した消費増税の影響を示す経済指標が出揃ううえ、6月発表予定の新成長戦略との協調性などを背景に、追加緩和を実施するとみるエコノミストが多く、夏場には日本株が動意付くとの見立てだ。

ゴールドマン・サックス証券マネージング・ディレクターの宇根尚秀氏は「黒田総裁が強気な姿勢を維持しているため、足元で日本株に対するエクスポージャーを高めようとする海外ヘッジファンドは少ないが、緩和期待が完全になくなったわけではない。緩和を織り込む時期を見越して逆張り的にアップサイドのボラティリティを取る動きが出ている」と述べている。

ただ、出てきた政策が期待外れで終わってしまえば、こうした動きも一時的に終わってしまう。海外勢だけでなく、国内勢も日本株市場に回帰してもらえるような、長期的に日本の潜在成長力を高めることのできる政策が求められている。