誰もが知っている札幌ラーメンに始まり、旭川、函館と北の大地の北海道はご当地ラーメンのメッカだ。そりゃあ北海道のしばれる冬は、ラーメン文化が育つには最適のシチューエーション。そして今や北海道第4のご当地ラーメンとして、俄然注目を集めているのが「釧路ラーメン」だ。

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○細麺で漁師好みの濃いしょうゆ

ルーツは諸説あるが、確かなのは、戦後、漁師相手の屋台でラーメンが大人気だったということ。客を待たせない早いゆで上がり。細麺で漁師好みの濃いしょうゆ味とかつお節主体のスープ。このいでたちが、いかにも漁師町生まれのラーメンだ。

ちなみに、2003年に地元の人々で結成された釧路ラーメン麺遊会には、現在約20の店舗が加盟している。では、一体どんなバリエーションがあるのだろうか。早速、食べ歩きの旅に出てみた。

○隠し味のエビ油で濃厚なコクに

最初に訪れたのは「拉麺はちべえ」。ここは、昔ながらの味に近いあっさり風味と、豚の背脂を加えたイマドキのこってり風味の2種類がある。「釧路ラーメンといえば、細いちぢれ麺とかつおダシだよね。でもそれだとシンプル過ぎるから、今じゃあいろんな店でいろんな味を工夫しているよ」と、話してくれたのは店主の佐藤豊紀(とよき)さん。

じゃあと、「あっさりラーメン」(650円)をオーダーしてみた。第一印象は、さすが麺は細いということ。スープはしょうゆベースの黒っぽい感じだが、一口飲むと「ああ、ほんのり甘い」。かつおダシよりも鶏ガラや昆布出しの味が前面に出ていて、これが細口のちぢれ麺によく絡むのだ。

聞けば、隠し味にエビ油が入っているという。濃厚なコクはそのためか。あつ、あつ。こりゃあ、寒い日に食べると最高だ!

「チャーシューは阿寒ポークの肩ロースを生肉で仕入れて、蒸し焼きにしてんだよ。うまいだろ」。なるほど、チャーシューというよりは凝縮された肉のかたまり。トロトロしてない口当たりもナイスである。

●Information
拉麺はちべえ
北海道釧路市入江町6-6

○ザンギもいいけど、具沢山な野菜ラーメンも

次に向かったのは、いかにも庶民の味方という風情の「たんぽぽ」だ。応対してくれたのは、店主の佐野永三さん。味のこだわりって何ですかと質問をぶつけたところ、「整理整頓だね」とカウンターパンチのようなお答え。「店が散らかってたら、お客さんが気持ちよく食べられないでしょ」。な、なるほど。

下調べでは、店のイチオシは(釧路ラーメンにこれまた釧路名物の唐揚げ「ザンギ」をトッピングした)唐揚げラーメン(800円)らしいが、佐野さんによれば「一番人気なのは、野菜ラーメン(750円)だね」とのこと。じゃあそれお願いと、オーダーして出てきた野菜ラーメンは、白菜、ニンジン、ピーマン、きくらげなど具だくさん。野菜のトッピングをひきたてるのはこれまた野菜だしがたっぷり出たスープだ。

他にも、豚骨や鶏ガラ、かつお節などが入ったダシの海山連合軍。ほのかに甘くてでもインパクトも感じるのは、コラーゲンたっぷりの豚足をダシに使ってるからか。女性客にも人気だそうだ。

●Information
たんぽぽ
釧路市白樺台1-7-3

○ラーメンにエゾシカの肉!?

最後はちょっと変わり種を食べてみたい。せっかく北海道なんだから、きっと変わった食材のラーメンもあるはずだ! そこで飛び込んだのが「麺や北町」。ここは何と、エゾジカの肉を使ったラーメンがあるという。

この店は北海道産の素材へのこだわりがウリだそうで、その中でも目を引くのは「エゾジカ肉の担々麺(700円)だ。「エゾジカは北海道全般でとれるんです が、ウチが使ってるのは阿寒で育ったエゾジカです」と説明してくれたのは、店主の北出昌弘さん。

「エゾジカの挽き肉を使ってるんですが、エゾジカの肉って火を通すと硬くなるんですよ。ですからタマネギを加えて、ゆっくり1時間ほど煮込んでいます」と、調理の苦労を語る。

実際に食べてみると、豚のミンチよりも野性味がある。味はしょうゆとゴマ風味のスタンダードな担々麺で甘辛い。ここまでくるとほとんど釧路ラーメンの面影はないが、多加水の細麺を使ってるあたり、やっぱり釧路ラーメンの系譜を受け継いでいるといえよう。寒いときが最高の一品だ。

●Information
麺や北町
釧路市鳥取大通7-5-12

バラエティ豊かな「釧路ラーメン」の数々だが、エリアには他にも個性豊かな北海道の食材を駆使したラーメンが数多くある。是非現地でお気に入りの一杯を見つけてほしい。http://netallica.yahoo.co.jp/news/20140315-00000014-cobs