○背脂もしっかりな「昔ながらのラーメン」

次いではラーメン側の庶民的な店に行ってみよう。足を運んだのは「フレンド」。店の前には「宇宙一おいしいラーメン」と大書してある。取りあえずラーメンをオーダー。1杯400円という価格にびっくり。すごい安さだ!

麺はやや平口の細麺。そしてスープにはついに発見! 背脂がしっかり入っている。これぞ尾道ラーメン。「うちは中華そばじゃなくてラーメンだからね」と明言するのは、おかみさんの砂田克子さん。開店30年で「子どもから大人まで誰でも食べられる味だよ」というだけあり、クセのない優しい風味だ。

ダシはトンコツや鶏ガラだそうで魚介系は使っていない。前述の「みやち」が「昔ながらの中華そば」なら、ここ「フレンド」は「昔ながらのラーメン」ということなのか。

●information
フレンド
広島県尾道市尾崎本町12-10

○びっくりサイズの背脂がコクを増す

では、最後は思いっきり尾道ラーメンにシフトした店を紹介しよう。それが「東珍康」。真っ赤な下地に白抜きの「尾道ラーメン」の大看板の中へいざ突入! 「うちのこだわりはとにかく水、水なんだよ」。そう連呼するのは、店主の砂村望さん。

「大山の湧き水と同じ成分といわれる尾道の湧き水を使っているから、味が全然違うよ」。メニューは豊富だけれども今回は迷わず「尾道ラーメン(並)」(520円)をオーダーした。

スープはトンコツ・鶏ガラ・野菜・だし昆布だそうで、複雑な味わいだがすっと喉をうるおす感じがいい。ビックリするのは豚の背脂。肉の切れ端かと思うほどデカイのだ。この背脂が味のコクだしをする役割ということは言うまでもない。

●information
東珍康
広島県尾道市栗原町6023-5

かように新旧織り交ぜて百花繚乱状態の尾道のラーメン事情。「尾道ラーメン」というジャンルくくりがバカバカしくなるほど奥が深い。ぜひ、現地で味わってほしい。

※記事中の情報・価格は2014年3月取材時のもの
http://netallica.yahoo.co.jp/news/20140420-00000010-cobs