市場関係者によれば、一部の海外勢は黒田日銀総裁が進める異次元緩和の目的を、株高にすることで資産効果をもたらし日本経済の浮揚につなげることだと捉えているという。このため、年初から日本株の上昇基調が崩れたにもかかわらず、日銀が追加緩和を打ち出さないことに業を煮やしているとされている。
外為どっとコム総研の石川久美子研究員は、黒田総裁が会見で、消費増税後の景気の戻りに自信を示したことで、追加緩和の予想時期を後ずれさせた。従来は夏ごろの追加緩和の可能性を予想していたが、現在は早くて10―12月と予想している。景気が目立って悪くなければ追加緩和は打たない可能性もあるという。
石川氏は、ドル/円の今後3カ月の予想レンジを98―105円程度とする。日銀の追加緩和期待が後退する半面、米国については量的緩和縮小の加速化や早期利上げ期待が浮上しにくいため、年初来高値(105.45円)の突破は難しいとみている。
一方、材料がないときにウクライナ情勢がさらに緊迫化すればリスク回避の動きが強まる可能性もあり、100円を割れば98円付近までの下落が考えられるとした