<ユーロ圏債券> スペインなどの格付けの低い国の国債利回りが若干上昇した。欧州中央銀行(ECB)の資産買い入れ実施に対する期待が出ていたが、この日はECB当局者からこうした観測の後退につながる発言が相次いだことで、利食い売りが出た。
終盤の取引でスペイン10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)上昇の3.19%。市場関係者によると、国内投資家に加えアジアの投資家から売りが見られた。
他の格付けの低いユーロ圏国債の利回りも2─3bp上昇した。
ECBの政策について、ノボトニー・オーストリア中銀総裁はこの日、物価上昇率の動向を注視しているとしたうえで、低インフレに対する措置を直ちに講じる必要はないと 指摘。非標準的措置が必要となった場合は資産担保証券(ABS)市場の強化が望ましいとの立場を示した。
またメルシュECB専務理事は、必要な場合に備えて大規模な資産買い入れ策を策定しているが、そこに至るまではかなり遠いと表明。バイトマン独連銀総裁は量的緩和実施の是非に関する見解は示さなかったが、ECBに過度に負担をかけるべきではないとの考えを示した。
ユーロ圏の低格付け国債はドラギECB総裁が3日の理事会後の記者会見で量的緩和第実施の可能性を示唆したことで買われていたが、この日はECB当局者の一連の発言を受け、利食い売りが発生。コメルツ銀行のストラテジスト、マイケル・レイスター氏は、「市場は量的緩和をめぐる観測に敏感になっている」と述べた。
ギリシャ10年債利回りは2bp上昇の6.17%。前週は最大で50bp低下していた。ギリシャ格付けについてムーディーズ・インベスターズ・サービスが4日に見直しを発表すると見られていたが、発表はなかった。