<ユーロ圏債券> 欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測が出るなか、スペイン、イタリア、ポルトガルの国債利回りが低下した。

スペイン10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)低下し3.25%となり、8年ぶりの低水準を更新。イタリア10年債利回りも同程度低下し3.289%となり、8年半ぶりの低水準となった。ポルトガル10年債利回りは4.048%となり、4年ぶりの低水準を更新した。

独10年債利回りは3bp低下の1.54%となった。

米連邦準備理事会(FRB)が超緩和策の転換を示唆するなか、ECB当局者はユーロ圏でデフレリスクが増大すれば非標準的措置導入の可能性もあるとの姿勢を表明。ノムラの欧州金利ストラテジストは、「ここ数日、ECB当局者からよりハト派的な発言が相次いでいることで、ユーロ圏国債の利回りが低下している」としている。

ユーロの下落に歯止めがかかり、欧州の株式市場も安定したものの、債券市場関係者によると、ECB当局者のこうした発言を手掛かりに、年初から需要が高かった周辺国国債に引き続き買いが入っている。

ただ市場では、ECBが直ちに行動を起こすかについては懐疑感も出ている。ある市場関係者は「ECBが将来的に導入する可能性のある措置について言及する際、『必要なら』との文言が重要になる」と指摘。このところのECB当局者の発言について、「基本的にフォワードガイダンスの再確認でしかなく、ECBが直ちに行動を起こすことを意味しているわけではない」としている。