■区役所の訪問調査は年3回 前日に「何も話すな」と厳命

 なぜ、不正受給がまかり通ってきたのか。

 自治体による生活保護費の調査は、受給者の生活環境で4つに
分類される。若くて健康であれば就職できる可能性が高いため、
担当者が月1回、訪問する。高齢者や病人の場合は収入を得るのが
困難な程度によって年4回、3回と下がり、最少で年1回となる。

 沼田容疑者の場合は高齢で持病があると届けていたことなどから、
年3回の訪問調査で済んでいたという。

 足立区役所が24年7月、沼田容疑者に翌日に調査で訪問すると
伝えた際には、沼田容疑者が朴容疑者に電話で「何も話すな」
と厳命。朴容疑者は「ばれるのを恐れ、そわそわしていた」というが、
無事に調査を乗り切っていた。

 その後の調査で、朴容疑者が沼田容疑者宅にいないことを
指摘されても、「買い物に行った」などと言い逃れていた。
朴容疑者の 派手な生活ぶりも、別居しているため、
担当者にはばれなかったとみられる。

■偽装結婚の疑惑も 年に数十万円の「謝礼金」?

 捜査関係者によると、朴、沼田両容疑者がそもそも偽装結婚
だったという疑惑も浮上している。朴容疑者は数年前に沼田容疑者と
結婚して日本人配偶者となったが、入管当局から最長3年での
資格更新を毎年求められており、入管当局も疑いの目を向けていた
可能性がある。

 朴容疑者は資格更新の時期に合わせるように、沼田容疑者に
数十万円を送っており、捜査関係者は「偽装結婚を続けている謝礼
とも読める」と指摘する。

 沼田容疑者は朴容疑者と結婚する5年前に、不法残留していた
別の韓国人の女と結婚し、離婚している。女は定住者の資格を
手に入れて日本で暮らし続けており、沼田容疑者が偽装結婚を
繰り返していた可能性もあるという。