復帰した芸人、じゃなくてガンマンって設定はあくまで映画のそれであってさ、日本の映画でも元ヤクザが生活に困って悪いやつの口車に乗せられ、ヤクザに戻って荒稼ぎに乗り出すってパターンがよくあるじゃない。つまり、アカデミー賞受賞作もB級ヤクザ映画も同じ定型に従ってはいるんだけど、『許されざる者』の場合、実になんともこれがいい味を出しているんだよ、こっちの胸にズシッと重くかぶさってくる凄さがあるんだもん、リアルな味っていうか、見事な映画になっているんだよ。 イーストウッドの演出力とテクニックってのは大したもんだ、非常にうまく仕上がっていると思うね。