本当はそうじゃありません。 子供にもわかり、そして大人も考えさせられてしまう、そういうものが、本当にすばらしい作品なのです。
藤子先生の作品は「ドラえもん」はもちろんですが、その他の作品もほとんどが-「子供がよんでわかりやすく」そして「大人になってからよめば、またいっそう深い意味がわかって、考えさせられる」描き方なのです。
子供にわかってもらいたいこと、でも大人になっても絶対に忘れてはいけないこと、それらを、おもしろくわかりやすく描くのは、むつかしいし、めんどうなことです。
藤子先生はなぜそういう、むつかしくてめんどうな描き方をつづけてこられたのでしょう?それは先生が「本当のやさしさ」を持った人だからです。やさしいから、一生けんめい苦労して、本当はむつかしい話を、わかりやすくおもしろく描いたのです。
出典 藤子・F・不二雄のまんが技法