一生でたったのスプーン1杯程度!? 微量でも妊娠力に欠かせない女性ホルモンを活性化させるコツは?

最近なにかと話題になる不妊のニュース。なんとなく、自分は大丈夫かな? と不安に思い「女性ホルモンのバランスを整えることで、将来の不妊を回避できないか」と考える女性は少なくないようです。そこで、妊娠にまつわるホルモンについて、不妊症など生殖医療に詳しい産婦人科医の船曳美也子先生に聞きました。

―ホルモンは血管を通ってカラダを巡っているそうですが、血流を改善できれば、ホルモンがきちんと巡るカラダになれますか? そもそも、ホルモンがカラダを巡ることは大切なことなのですか。

「たしかに漢方医学では『瘀血(おけつ)』といって、血の巡りが悪くなることで婦人科疾患の原因になると考えられています。これを現代医学的にどう考えたらよいのか難しいのですが、確かにいえるのは、女性ホルモンは卵巣から分泌され、卵巣のホルモンだからといって卵巣だけに影響する話ではなく、全身に影響し、逆に、全身からの影響も受けるということです」

―えっと……。つまり女性ホルモンは卵巣から分泌されていて、卵巣機能に影響を及ぼす。ただしそれだけではなく、全身にも影響を与える。また、女性ホルモンの分泌は全身の状態に左右されやすい、ということですか?

「そうです。ところで、そもそも女性ホルモンが女性の一生の間に卵巣から分泌される量がどれくらいだと思いますか? 実は、たったスプーン一杯分なんですよ」

―ええっ! たったのスプーン1杯分!? ……そんなに少ないということは、意外に女性ホルモンの影響って大したことないんじゃないでしょうか?

「いいえ、そんなことはありません。たしかに日々分泌される量は極めてわずかですが、月経周期の中でも、そのわずかなちがいで、肌が潤ったり、やせやすくなったり、人によっては下痢や便秘をとこしたりと、さまざまなことが起こります。また、卵巣のホルモンの影響で、排卵のころとそれ以外の時期では、男性の好みのタイプまでもが変わってしまうことがわかっています」

―ごく少ない量なのに全身に影響を与えるとは、女性ホルモンって偉大ですね! すると、ホルモンを巡らせることよりかは、まずは卵巣の調子を整えることのほうが先のような気がしてきました。

「女性ホルモンは卵巣が分泌するからといって、卵巣に問題がなければすべてよしかというと、そういうわけではありません。女性ホルモンの分泌は、脳やほかの臓器からの影響も受けます。たとえば、失恋や転職といった精神的なストレスだけでも生理不順になって女性ホルモンが出なくなりますし、過度のダイエットや肥満といった生活習慣もその分泌に大きな影響を与えます」

―なるほど。女性ホルモンの分泌は、卵巣の調子だけでなく、全身の状態にも左右されるんですね!

「そうです。ですので、いわゆる『血流がよくなる』というような健康的な生活を送ることは、とても大切なことです。日常的に、運動して筋肉を動かし、偏らない食事や入浴で冷えを改善するように心がけましょう」

―ほかに気をつけるべき点はありますか?

「ホルモン分泌のバランスを整えるために、脳がリラックスした状態をつくってあげましょう。卵巣は脳からの刺激を受けて女性ホルモンを分泌します。脳の中心にある視床下部は睡眠、食欲、性中枢といった動物的、本能的な部分を司っており、1~2時間に一回という律動的なリズムでホルモンを分泌しています。このリズムが、強いストレスを受けると抑制されてしまうので、うまく卵巣を刺激できずに女性ホルモンが減ってしまいます」

―ホルモンバランスを整えるには、脳がリラックスしていることがポイントなんですね。

「はい。運動、おいしいものを食べる、おしゃべりをする、軽く飲酒もかまいません。寝不足と食べ過ぎに注意して、あなたなりのストレス発散法をいろいろためしてみてください」

ごく微量なのに、カラダの調子に大きく影響する女性ホルモン。ホルモンが巡るカラダづくりを、日ごろから心がけたいですね。http://netallica.yahoo.co.jp/news/20131107-01018531-mynaviw