開封したペットボトルの水、いつまで飲める?日本「衛生学的に問題」VS.海外の専門家の意見

オフィスや家に飲みかけのミネラルウオーターのボトルはありませんか?

1、2日なら心配せずに飲めるけれど、1週間前に開けたペットボトルの水は飲めるのでしょうか?

味の変化、口腔内に存在する多数の細菌など、飲みたくても不安がよぎります。日本と海外の意見を紹介しましょう。

■日本「衛生学的に問題」「飲みきれないときは冷所保存でコップを使用」

2001年の和洋女子大学紀要に収載された『小型ペットボトル飲料を唾液および手指で汚染させた時の細菌数の変化(後藤・荒巻・芳原)』の研究において、外国産ミネラルウォーターを15度と36度の温度条件下で、2、5、10、20時間と4回にわけて細菌を測定した結果、両方の温度条件下で一般細菌の倍増が確認されたため、「衛生学的に問題」があるという結論に!

2009年に『日本看護研究学会雑誌』で収載された『小型ペットボトル飲料使用における安全性の検討(吉井・八塚・安田)』の研究においても、外国産ミネラルウォーターを4度と25度の温度条件下で、2、5、10、24、28、72時間と6回にわけてサンプリングした結果、前途した研究結果と同様に衛生学的に問題があると確認されました。

ただし、4度の温度条件下では、10時間までは細菌増殖が認められましたが、それ以降は細菌が減少したことも確認されていることから、「飲みきるまでに時間を要する場合、冷所保存する、またコップに移しかえる」ことを勧めています。

■イギリス・カナダ「未開封でも、水道水よりも細菌が多い」

イギリスでは「ミネラルウォーターには水道水に含まれている塩素(殺菌効果)が入っていないため、未開封のボトルでも細菌に汚染され、感染源になりえる」と『Daily Mail』紙が報道しています。カナダでも過去に同様の報道がありました。

カナダ保健省では「水の保存は冷暗所に直射日光を避けて保存、開封した後は冷蔵庫に保存」と勧めていますが、細菌が繁殖するから「飲まない方がいい」ということは注意していません。

■ ドイツ・ノルウエー「飲んでも健康に害なし」

「 たとえ口をつけて直接飲んだとしても、中に入ったバクテリアは自分のもので、しかも微量。それが原因で健康を害することはありません」と説明するのは独ミネラルウォーター情報センターの専門家クルンベさん。

ノルウェー公衆衛生研究所の水質部長であるTruls Krogh氏は、「かばんの中にある数週間前に開封したペットボトルに残った水を飲んでもいいか」という質問に対し、「イエス」と答えています。未開封の消費期限が過ぎた水でも飲めるとしていますが、たとえ冷蔵庫に保存しても、冷蔵庫の中のにおいが容器を通してうつるから、味の変化は避けられないとか。

両専門家によると、「瓶入りの水は半永久的保存可能」だそう。

■各国で意見が異なるのはなぜ?

各国の意見に差があるのは、水質基準のちがいにあります。WHOガイドライン、米国EPA基準、EU指令と日本の水道法で定める水質基準を比較すると、日本の水質基準は非常に厳しいことがわかります。

いろいろな意見がありますが、各国の専門家が一致した意見は「冷所保存」。気になる方は、「コップに注いで」「まわし飲みはしない」「開封後は冷蔵庫に保存」を守るか、2時間以内に飲みきりましょう。

参考:
『小型ペットボトル飲料を唾液および手指で汚染させた時の細菌数の変化』和洋女子大学紀要
『小型ペットボトル飲料使用における安全性の検討』日本看護研究学会雑誌Vol.32 No.1 2009
厚生労働省『水質基準の国際比較』
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1108-5g.html

Can Water spoil?
http://sciencenordic.com/can-water-spoil

Kann Wasser schlecht werden?
http://www.t-online.de/lifestyle/besser-leben/id_63859654/wasser-kann-wasser-schlecht-werden-.html