東京株式市場で日経平均は反発。外部環境の改善に、前週後半に下げた反動も加わり、前週末比300円を超える上げ幅となった。日立製作所<6501.T>やソニー<6758.T>などハイテク株に堅調な銘柄が目立ち、自動車や金融など他の主力株もしっかりとした値動きとなった。
懸念されている中国短期金融市場は、指標となる7日物レポ金利は低下しているものの、上海銀行間取引金利は引き続き上昇しており、依然として警戒感がくすぶっている。
<反発も冷静、上値限定的か>
日経平均株価は前週末比307円高の1万4396円で取引を終えた。大引けにかけて上げ幅を拡大、一時1万4400円を回復した。円高進行が一服していることも、投資家心理の改善につながった。
東証33業種すべてが値上がりし、中でも空運やガラス・土石製品、電気機器、金属製品などの上昇が目立った。
もっとも、市場の受け止めはいたって冷静だ。松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「物色の柱がみえず、先物主導での買い戻しに過ぎない。日経平均は三角もち合いの収れんに向けた値動きが続いている」と指摘する。
参加者からは「構造改革は掛け声倒れとなり、為替ののりしろもだんだんなくなってきている。売買の中心は短期筋で、足の長い資金が入っている形跡はない。雰囲気はアベノミクス相場の前に戻りつつあり、目先は下方リスクを警戒すべきだろう」(国内証券)との声が聞かれた。
前週は1万4800円超えを失敗。これで7月から3回連続での失敗となり、「目先は1万4800円の突破はかなり難しいだろう」(同)との見方も少なくない。
個別銘柄では、KDDI<9433.T>が反発。2013年4─9月期が営業最高益との一部報道を材料視した。アイロムホールディングス<2372.T>や大豊建設<1822.T>がストップ高。半面、新光電気工業<6967.T>や野村総合研究所<4307.T>などは大幅安となった。
東証1部騰落数は、値上がり1431銘柄に対し、値下がりが253銘柄、変わらずが73銘柄だった。
<中国金融市場不安くすぶる>
市場では「決算も始まったばかりで、全体というより個別で動いているので、仕掛けられると弱く、中国短期市場の動向をもう少し見極めたい」(別の国内証券)との声も出ていた。
28日の上海短期金融市場で、指標となる7日物レポ金利は午後3時55分現在で低下しているものの、上海銀行間取引金利は3カ月物まで引き続き上昇している。