中国の広州市政府の貿易部門である越秀集団は、香港の創興銀行<1111.HK>の株式75%を約116億4000万香港ドル(15億米ドル)で取得することで合意したと明らかにした。
越秀集団は声明で「買収は、香港市場における存在感を高めるととともに、珠江デルタ(広州、香港、マカオを結ぶ三角地帯)で総合金融サービスの提供企業としての立場を構築する一助となる」との見解を示した。
双方によると、買収価格は1株当たり35.69香港ドルで、前営業日取引価格からは4.6%のディスカウント水準。創興銀株は買収の打診があったと明らかにした8月初旬以降66%上昇しており、前日には、買収発表を控え取引停止となっていた。
買収価格は株価純資産倍率(PBR)で2.08倍の水準。トムソン・ロイター・データによると、香港の銀行は平均でPBR1.66倍の水準で取引されている。
創興銀行には三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>が9.7%出資している。
発表声明によると、野村<8604.T>が越秀集団、UBS<UBSN.VX>が創興銀行のそれぞれファイナンシャルアドバイザーを務めた。
今回の案件は、香港の銀行に対する中国本土や外資系銀行の関心の高さを示しており、次は同様に買収の打診を受けているとされる永亨銀行<0302.HK>の動向に注目が集まっている。
ロイターは前日、シンガポール第2位の銀行であるオーバーシー・チャイニーズ銀行(華僑銀行、OCBC)<OCBC.SI>と中国第4位の銀行である中国農業銀行<601288.SS>が永亨銀の買収を検討していると報じた。
アナリストは、創興銀の買収額が今後の香港銀買収額の基準になる可能性があると指摘する。
関係筋によると、永亨銀の主要株主はPBRで2─2.2倍の買収額を求めているとされ、これに基づく永亨銀の企業価値は59億ドル程度になる。