米債務上限引き上げ合意前にプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)が財務省短期証券(Tビル)の保有を大幅に増やしていたことがニューヨーク連銀のデータから明らかになった。

24日公表された連銀のデータによると、引き上げ期限前日の10月16日時点のプライマリーディーラーによるTビル保有額はネットで595億ドルと、前週の2倍以上となった。

債務上限引き上げをめぐる与野党の協議が難航するなか、MMF(マネー・マーケット・ファンド)など投資家は、米政府に対するデフォルト(債務不履行)懸念を強め、10月末から11月中旬までに償還期限を迎えるTビルの売却を進めた。プライマリーディーラーは、こういったTビルの受け皿になったとみられる。

TD証券の金利ストラテジスト、ジェナディー・ゴールドバーグ氏は「多くの大手MMFがデフォルトリスクの高いTビルを売却しようとし流動性も大きく低下するなか、プライマリーディーラーが数少ない受け皿になった可能性がある」と述べた。

アナリストによると、プライマリーディーラーは引き上げ合意前に行われたTビル入札でも、他の投資家が購入を控えるなか、通常の平均を上回る規模の買い入れていた。

プライマリーディーラーのTビル保有が膨らんだ理由が顧客の処分を引き受けたことによるものか、期限前に合意が実現することを見越して買い入れたかは不明という。