ロイターが22日、プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)を対象に行った調査によると、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和の縮小開始は来年3月以降になるとの回答が大半を占めた。
政府機関の一部閉鎖や連邦債務上限の引き上げをめぐる与野党間の対立で、縮小時期に顕著な影響が出たとの回答が目立った。
この日発表された9月の雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回り、景気の失速を示唆したことも、緩和縮小が先送りされるとの見方をいっそう強める結果となった。
調査では、15社中9社がFRBの量的緩和縮小開始は来年3月になるとの見方を示した。2社は1月28─29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、別の2社は来年第1・四半期に緩和縮小が発表されると予想。1社は1月以降、残る1社は来年6月以降と見通した。
9月上旬に実施した調査では、18社中13社が9月17─18日のFOMCでの縮小決定を見込んでいた。9月の調査は、さえない結果となった8月の雇用統計発表後に行われた。
この日の調査では15社中8社が、米議会での先の予算協議の難航や債務上限引き上げをめぐる与野党の対立がFRBの資産買い入れ縮小時期に著しい影響を及ぼしたと回答した。
ジェフリーズの短期金融市場エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は「(財政問題による)影響は大きかった」と述べ、「財政協議の難航がなければFRBは既に縮小を開始していたかもしれない」との見方を示した。
そのうえで、2月7日に期限を迎える次回の債務上限の引き上げをめぐる不透明感を踏まえると、FRBが1月28─29日のFOMCより前に買い入れ縮小を発表する可能性は低いとした。
一方、ダイワ・セキュリティーズ・アメリカの首席エコノミスト、マイケル・モーラン氏は、先の政府機関閉鎖と債務上限引き上げをめぐる危機が年明けも繰り返される公算は比較的小さいとし、財政問題がFRBの政策に及ぼす影響は今年よりも小さくなる可能性があるとの見方を示した。
ジェフリーズのサイモンズ氏は、政局以外に経済指標も緩和縮小時期を左右する要素になると指摘した。
ドイツ銀行証券のシニアエコノミスト、カール・リッカドンナ氏は「9月の雇用統計発表前は今年12月と来年3月の買い入れ縮小の可能性が五分五分とみていたが、同指標の軟調なトーンを受けて3月縮小の公算が高まった」と語った。
買い入れ規模の縮小幅は、15社の予想中央値で月額150億ドルと、9月調査時の水準と変わらなかった。予想レンジは100億─200億ドル。9月調査時は100億─250億ドルだった。
縮小の対象となる証券については見方が分かれ、米国債の買い入れ縮小が住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れ縮小よりも大幅になるとの回答が若干半数を上回った。
資産買い入れの終了時期に関しては、15社中13社が2014年下期と予想した。
利上げ時期の予想は15社中13社が2015年、残りの2社は2016年とした。