米JPモルガン・チェース<JPM.N>が住宅ローン担保証券(MBS)事業をめぐる訴訟で米司法省などと暫定合意した和解金の支払いについて、関係筋は、税控除の適用により同行の負担が大幅に減少する可能性があるとの見方を示した。

JPモルガンはMBS事業をめぐる訴訟で司法省や他の政府機関と130億ドルの和解金を支払うことで暫定的に合意しているが、関係筋によると、税控除が適用された場合、同行の負担額は大幅に減少し90億ドル程度になる可能性がある。

同行は政府と現在、和解金に対する課税措置について交渉している。

関係筋によると、和解金のうち20億ドルは罰金で、これは税控除の対象とはならない。ただ、40億ドルは住宅ローン利用者の支援向けでこれは、制度上税控除の対象になる。

残りの70億ドルについてはどうなるか明らかになっていないが、大半はMBSへの投資で損失を被った投資家への補償にあてられるとみられ、税控除の対象となる公算が大きい。

税控除は法律違反による罰金の支払いには適用されないが、和解金にはしばしば適用される。

税の専門家、ロバート・ウィレンズ氏は投資家への補償について、通常は、家電メーカーなどの不良品に対する賠償支払いと同様、控除の対象になると指摘。仮に110億ドルに38%の税率が適用されたとすれば、控除額は最大で41億8000万ドルになるとの見方を示した。

ただ、同氏によると、政府は例外措置として、JPモルガンに対し一部の額に対する控除適用除外に応じるよう求めることができる。

JPモルガンと米政府の交渉の結果は、同行への負担、社会の受け止め方、住宅ローンをめぐる他の訴訟の前例になるのかといった点で重要な意味をもつ可能性がある。