中国本土の株式市場について、今年の状況を言うなら「小型株が熱い」だろう。深セン市場に上場する小型株は年初来で80%近く上昇しており、さえない深セン株式市場全体を大きくアウトパフォーム。しかし、市場では修正局面入りへの懸念も強まっている。

大きなリターンを求める個人投資家が積極的に小型株を購入しており、機関投資家も加わっているとみられる中、小型株を過去最高値に押し上げている。

ただ、ここへきて利益に比べ株価が割高になっているとの懸念が拡大。また、11月に開かれる中国共産党の第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で大幅な経済改革に対する期待が裏切られれば、投資家は失望するだろう。

深セン証券取引所の新興市場「創業版(チャイネクスト)」の動向を示す総合指数<.CHINEXTC>は、PER(株価収益率)が55倍となっている。これは、大型株中心で深セン上場銘柄を含む滬深300指数<.CSI300>のPER14.8倍のほぼ4倍だ。

CLSAフォーチュン・セキュリティーズのA株ストラテジスト、ヒーザー・スー氏は先月下旬、香港で開かれた投資関連会議で「これら小型株の一部は明らかにバブルだが、全てがバブルだというのは正しくない」と指摘した。

同氏は、修正局面は深刻にはならないと付け加えたものの、年初来の上昇率を考慮すれば銘柄選択は一段と重要になると指摘した。

年初来の大幅な上昇にもかかわらず、チャイネクストの時価総額は約6500億元(1061億9000万ドル)で、滬深300指数の14兆4000億元には遠く及ばない。

本土メディアは9月下旬、第3・四半期に小型株の大口取引が過去最高の水準になったと報道。機関投資家の参加を裏付けるものといえる。

また、オフショア市場でも、こうしたオンショア市場の動きに追随している様子もうかがえる。MSCI中国オーバーシーズ小型株指数<.MI04000S0PUS>は年初来で50%超上昇。大型株中心のMSCI中国指数<.MSCICN>が2%安となっているのとは対照的だ。

こうした中、クレディ・スイスのアナリストらは7日付ノートの中で、2014年に中国小型株企業の利益が20%を超えるとするコンセンサス予想をあまり真に受けるべきではないと警告している。