7日の米国株式市場は下落。米政府機関の一部閉鎖が続き、連邦債務上限の引き上げをめぐる与野党対立の事態打開に向けた進展が見られず、投資家の警戒感が継続した。

S&P500種は振れの大きい展開となり、この日の安値近辺で終了。過去13営業日で10日目の下落となった。投資家の不安心理を示すCBOEボラティリティ指数(VIX指数)<.VIX>は16%上昇し、6月以来の高水準をつけた。同指数は過去3週間に48%上昇している。

月初から政府機関の一部が閉鎖され、最大で100万人の政府職員が一時帰休となった。投資家は債務上限引き上げに向けた交渉にも注目しており、議会が17日までに合意できなければ米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がある。

ダウ工業株30種<.DJI>は136.34ドル(0.90%)安の1万4936.24ドル。

ナスダック総合指数<.IXIC>は37.38ポイント(0.98%)安の3770.38。

S&P総合500種<.SPX>は14.38ポイント(0.85%)安の1676.12。

BNYメロン・ウエルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、レオ・グロホウスキ氏は「状況が不透明な間は市場が一段の下落圧力を受けやすい。一日一日が過ぎるごとに市場は落ち着きを失っている」と語った。

同氏は、政府機関の閉鎖が1週間続くと国内総生産(GDP)を10─15ベーシスポイント(bp)押し下げると推計しており、「さほど大きな影響ではないが、景気回復の勢いは長期的に影響を及ぼす要因に対してなおぜい弱だ。企業業績の見通しにも影響を及ぼし始め、株式のバリュエーションにも影響が出るだろう」と指摘した。

S&P500種は10業種中、9業種が下落し、経済成長ペースとの関連性が高い金融<.SPSY>と素材<.SPSMCM>が相場の下げを主導した。ディフェンシブ銘柄とされる電気通信<.SPLRCL>のみが上昇した。

米政府が機能不全状態に陥ったことを嫌気し、S&P500種は終値ベースで最高値をつけた後の2週間で3%近く下落した。この日は50日移動平均線を下回って引け、目先のモメンタムが下向きである可能性を示している。

米クレジットカード大手キャピタル・ワン・フィナンシャル<COF.N>は2%安、米アメリカン・エキスプレス(アメックス)<AXP.N>は1.8%安で終えた。

カナダのスマートフォン(多機能携帯電話)メーカー、ブラックベリー(旧リサーチ・イン・モーション)<BBRY.O>は3.6%高。同社が身売りまたは資産の一部売却に向け、米シスコシステムズ<CSCO.O>やグーグル<GOOG.O>、独SAP<SAPG.DE>と協議していることが関係筋の話で明らかになった。

アップル<AAPL.O>はジェフリーズが利益率の改善見通しを理由に目標株価を引き上げたことを受けて1%高。医療機器のアトサ・ジェネティクス<ATOS.O>は、不具合の見つかったがん検査機器をリコール(回収・無償修理)すると発表し、46%の大幅安となった。

米財政協議のこう着状態が継続し、政府機関の閉鎖が続いた場合、8日に予定されている重要指標である貿易統計と米小売売上高の発表は行われない。先週は雇用統計や建設支出、製造業受注などの発表が見送られた。

ニューヨーク証券取引所、ナスダック、NYSE MKTの3市場の出来高は約45億4000万株と、年初来の1日平均の約61億株を下回った。

ニューヨーク証券取引所で全体の4分の3以上の銘柄が下落し、ナスダックでは約70%が下げた。

ダウ工業株30種(ドル)<.DJI>

終値         14936.24(‐136.34)

前営業日終値    15072.58(+76.10)

ナスダック総合<.IXIC>

終値         3770.38(‐37.38)

前営業日終値    3807.75(+33.41)

S&P総合500種<.SPX>

終値         1676.12(‐14.38)

前営業日終値    1690.50(+11.84)