その間、米ダウは2.7%、FTSEユーロファースト300種指数は2.2%の上昇にとどまっている。東京五輪決定を材料に、一部の海外勢が日本株先物のロングを積み上げた可能性があり、「消費増税決定で国内のマクロイベントが一巡したとみて売ってきたようだ」(藤戸氏)という。
実際、株式先物の売買手口をみると、前週はCTA(商品投資顧問業者)の注文を仲介するとみられている欧州系証券の売り手口が目立った。押し目買いのチャンスとの強気な見方もあるが、米財政問題が片付くまでは買いは入れにくく、ポジション解消の売りにズルズルと押し込まれている。
先物売りが裁定買い残の解消売りを巻き込んで下げを加速させた可能性もある。東京証券取引所がまとめた9月24日─9月27日のプログラム売買状況によると、金額ベースの裁定買い残(当限・翌限以降の合計)は4週ぶりに減少した。
一方、現物株の東証1部売買代金は2兆円の大台を割り込むことも多くなっており、多くの長期投資家は様子見であることを示している。
<リバウンドは小規模になる可能性も>
ドル/円もポジション調整のドル売り/円買いが圧迫しているとみられている。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表するIMM通貨先物の取組は、連邦政府機関閉鎖のため、9月31日時点のデータが明らかになっていないが、9月24日時点では投機筋の円ショートは、9万2818枚とピークの93%にまで膨らんでいた。
このため米財政問題が解決すれば、再びドル高・円安の動きが再開するとの見方も多い。FPG証券・代表取締役の深谷幸司氏は「財政協議の結果の帰すうについては予断を許さないが、この問題のお膝元である米国内における予測や投資判断を尊重するのであれば、リスク回避は一時的であり、従って、様々なリスク価格の下落やリスクポジション圧縮の動き、円高の動きは早晩反転する公算が大きいとみている」と述べている。
ただ、米両党が合意に至る可能性を警戒して、新規の日本株ショートや円ロングは積み上がっていない可能性が大きい。投資家の指針となる米経済指標は、米政府機関閉鎖で発表延期が続いている。米政府機関閉鎖の影響をデータで確かめるまでは、リスクオンには移りにくく、短期的にはリバウンドはそれほど大きくないかもしれない。