東京株式市場で日経平均は3日続落。前場には前日比で200円を超える下げとなり、9月6日以来、約1カ月ぶりに心理的節目1万4000円を下回る場面があったが、売り一巡後は下げ幅を縮小した。

国内企業業績や引け後の黒田日銀総裁会見に対する期待感などが下値を支えたという。一方、米財政協議をめぐる不透明感が引き続き上値を抑えており、戻りは限定された。東証業種別株価指数では33業種中32業種が下落。東証1部の値下がり銘柄数は7割強だった。

米財政協議をめぐる議会のこう着状態が連邦政府債務の上限引き上げに影響するとの不安から前日の米国株が下落したうえ、外為市場での円高警戒感が重しとなり、朝方は売りが先行した。来週末11日のオプションSQ(特別清算指数)算出を前に1万4000円割れを狙う仕掛け的な動きも指摘され、日経平均は1万3900円前半まで下値を切り下げた。

ただ売り一巡後は下げ幅を縮小し、終値では1万4000円を維持した。中間決算を控え国内企業業績の上方修正に対する期待感が下値を支えたという。「日経平均のPERは15倍台であり、過去の平均から比べると若干割安な水準。業績上方修正で割安感がさらにクローズアップされれば、押し目買いが強まる」(SMBCフレンド証券・投資情報部シニアストラテジストの松野利彦氏)との声があった。

日銀は4日の金融政策決定会合で、資金供給量(マネタリーベース)を年間60兆─70兆円増やす金融政策の維持を全員一致で決定した。市場予想通りでサプライズはなかったが、一部では引け後の黒田総裁のコメントに対して期待する向きもあると指摘され、日本株の下値を支えたとみられている。

また、米ホワイトハウスが現地3日、オバマ大統領によるインドネシアおよびブルネイ訪問を取りやめると発表したことを受け、「米財政協議の解決に本腰を入れるとの思惑が広がった」(国内証券)といい、先物への買い戻しが入る場面もあった。

かざか証券・市場調査部長の田部井美彦氏は「日経平均は1万4000円を下回り値ごろ感が出ているようだ。値幅調整はいったん終了したのでは。米財政問題がくすぶる限り上値は重いが、解決されれば国内企業業績への評価の高まりとともに1万5000円程度を目指す」との見方を示した。

個別銘柄では、エーアイテイー<9381.T>がストップ高。4日前引け後、10月31日現在の株主に対して、11月1日付で、1対2の株式分割を実施すると発表し、材料視された。自社株買いを発表したイズミ<8273.T>や、世界最大のエチレン生産設備を米国で受注したと報じられた日揮<1963.T>も買われた。

半面、シー・ヴイ・エス・ベイエリア<2687.T>が大幅安。3日に2013年9月中間期連結業績予想の下方修正を発表し、嫌気された。

東証1部騰落数は、値上がり348銘柄に対し、値下がりが1336銘柄、変わらずが68銘柄だった。

(杉山容俊)

日経平均<.N225>

終値      14024.31 -132.94

寄り付き    14029.73

安値/高値   13944.27─14149.77

東証出来高(万株) 236976

TOPIX<.TOPX>

終値       1163.82 -10.17

寄り付き     1164.11

安値/高値    1156.34─1171.83

東証売買代金(億円) 18592.09