東京外為市場午後3時のドル/円は、前日のニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル高/円安の97円後半。日経平均株価<.N225>が上げ幅を拡大させる場面では一時97.78円まで上昇したが、米財政協議をめぐる不透明感もあり、上値は限られた。ドル安地合いとアジア株高を背景に、ユーロ/ドルは8カ月ぶりの高値をつけた。

<米不安でリスクオンに傾けず>

午後3時までのドル/円は97円台で取引された。日経平均株価がプラス圏に浮上、きょうの高値をつけにいく場面では一時97.78円まで上昇したが、日経平均が伸び悩むと押し戻された。

市場では「米国は17日までにはどうにかなるとの見方が大勢だと思うが、米雇用統計の扱いなど不透明感もあり、リスクオンにはなりにくい。かといってリスクオフという雰囲気でもなく、しばらくさえない動きが続くだろう」(大手邦銀)との声が出ていた。

日経平均株価は終盤に前日比49円高まで上昇したが、大引けにかけて失速、同13円安の1万4157円で取引を終えた。

オバマ米大統領は2日、予算をめぐる議会指導部との協議で、政府機関閉鎖を終わらせる法案を承認する条件として、医療保険改革法(オバマケア)の交渉を迫る共和党の戦略を拒否した。民主党指導部が明らかにした。

与野党の協議はオバマケアの扱いが焦点となっているが、仮に共和党がオバマケアの取り扱いで民主党に妥協しても、債務上限引き上げに関する協議の場で再びオバマケアを交渉の材料にするとみられており、市場では「リスクオフ地合いが続きやすい」(外資系証券)との見方が目立つ。

<不安解消後も米金利上昇は限定的か>

ドル/円相場を予想する上で注目を集めやすい米10年債利回りはこのところ2.6%台を中心に推移しているが、参加者からは「現在は米政府機関のシャットダウン(閉鎖)と債務上限引き上げに関する不透明感で金利はやや下がっているが、今回の問題がクリアになってきても、基本的には上に跳ねるリスクはないだろう」(国内証券)との声が聞かれた。

この関係者は「イールドカーブは、手前のFF先物にしても、3年、5年にしても、先行きの利上げ期待を織り込んだ水準でスタックしている状況にある」と指摘。このため「今回の問題が解決しても、あとはリスクオンだ、金利上昇だとはならずに、概ね2.7%程度を中心をしたレンジになりやすいのではないか」との見方を示した。米金利面からは「ドル/円の上値は限られる」とみている。

<ユーロ上昇は「自分の力ではない」>

ユーロ/ドルは1.3623ドルに上昇、2月4日以来8カ月ぶりの高値をつけた。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が、当面は現行の金融政策を維持する姿勢をあらためて示したことなどを受け、前日の海外市場で大幅に上昇していたが、東京市場に入り再び急伸した。

もっとも、みずほ銀行国際為替部マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は慎重な見方を示している。「為替市場はいま全般にドル売りになっているが、この背景には米国政府のシャットダウンの話がある」と指摘。「この敵失で上がっているのがユーロだ」とし、「きのうはドラギ総裁の肩透かしで上がった分はあるが、1.36ドル近辺まで上昇したのは明らかに自分の力ではない」と警戒を促した。