自然災害リスクをカバーする「カタストロフィー債」など保険に連動する証券に資金が大量に流れ込んでいることについて、英プルーデンス規制機構(PRA)のデピュティ・チーフエグゼクティブのジュリアン・アダムズ氏は2日、監督当局としてはこの件に介入して資金流入を阻止するつもりはないと述べた。
保険と連動する債券には高い利回りを求めて数十億ドルの資金が流入し、保険会社や再保険会社はリスクを分散化して価格を押し下げることが可能になっている。
しかし英保険組合ロイズ・オブ・ロンドンのジョン・ネルソン会長は先月、大量の資金流入は資金調達の拡大を後押しするが、適切な監督を受けなければこの部門の安定を損なう恐れがあると述べた。
アダムズ氏はロイズでの講演で「これらの代替機構の一部は20年近くも市場としての特徴を有しており、まったく新しい現象とは言い難い」と指摘。これまでのところ大規模な資金流入の影響は北米のカタストロフィー保険におおむね限られているとした。またこうした変化で既存のビジネスモデルの中には疑問符が付くものが出てくるかもしれないが、それ自体は当局の介入を招くものではないとした。
ただアダムズ氏は講演後記者団に対して、資本流入でシステム全体のレバレッジが高まるならば介入を検討し、対応策には自己資本増強や担保要件変更の義務付けが含まれるだろうと述べた。またPRAはどの保険会社がレバレッジをきかせているか、資金流入がビジネスモデルやリスクテークにどの程度影響しているかも注視するとした。