ただ、マーケットは不安一色というわけではない。ファンダメンタルズが堅調なため
だ。金融緩和環境が継続し、経済が堅調というコンビネーションは流動性相場の前提とな
る。不透明感が後退すれば、株高・円安相場が再開するとの見方も多い。

米国の9月ISM製造業部門景気指数は56.2と、前月の55.7から上昇し、2
011年4月以来、ほぼ2年半ぶりの高水準となった。景気を見極める分岐点である50
を4カ月連続で上回っている。

金利上昇の影響で、伸び悩む米住宅関連指標もあったが、米連邦準備理事会(FRB
)が量的緩和(QE)の縮小を見送った直後から金利も低下。原油価格も下落傾向にある
。家計のバランスシート調整はほぼ終了しており、歳出削減など財政からの圧迫が薄らぐ
年後半にかけて成長が加速するとの見方が多い。

日本でも前日発表された9月日銀短観で大企業・製造業DIは市場予想を大きく上回
った。先行きは消費増税への警戒もあって慎重だったが、円安と消費増加を背景に、9月
中間決算では多くの企業で業績上方修正が出ると期待されている。
懸念されていた中国や欧州でも、経済指標はいったん持ち直している。

T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は「日米とも実質金
利の低下が経済を下支えそうだ。予算をめぐる攻防もオバマ大統領が主導権を握っており
、それほど懸念はない」との見方を示している。