日本株はやや意外感のある急落となった。1日の米市場では、米政府機関閉鎖が短期
間で終了するとの見方が広がり、ダウ<.DJI>は反発。日経平均も前場は一時、プラス圏で
推移していた。ドル/円<JPY=>も98円付近で底堅く推移しており、リスクオフムードは
いったん落ち着いたようにみえていた。

しかし、後場に入ると、日経平均<.N225>は急速に軟化。下げ幅は一時、350円を
超え、1万4100円台で引けた。裁定買い残高が約3兆6000億円まで積み上がって
おり、海外勢からの先物売りが、現物株の解消売りを巻き込んで下げ幅を広げたとみられ
ている。

後場に特段の売り材料が出たわけではなかったが、市場では、海外投資家の期待が大
きい法人税減税について、安倍晋三首相が1日の会見で「真剣に検討を進めないといけな
い」との発言にとどまったことが嫌気されているとの指摘もあった。「海外勢から権利行
使価格1万4750円や1万5000円のコールに手じまい売りが出てたことで、先物ヘ
ッジ買いのアンワインドが広がった」(外資系証券)という。

消費増税の経済への悪影響を抑えるため、12月にも策定される予定の経済対策だが
、市場では安倍首相の会見について「今後検討するといった、先送りと取られかねない言
い回しが多かった。歯切れが悪く、海外勢などには受けが悪いかもしれない」(証券ジャ
パン・調査情報部長、大谷正之氏)との声も出ている。

長期投資をする海外投資家にとって、1000兆円の借金を抱える日本の財政は大き
なテールリスク。プライマリーバランス黒字化には、税率が十分ではないとしても消費税
が引き上げられ、財政再建に踏み出したことは、長期的にポジティブとの指摘も多い。た
だ、期待された海外勢の買いはみえず、むしろ売りが優勢な状況となっている。

海外ヘッジファンドを顧客に持つ、ある国内ヘッジファンドのアナリストは「消費増
税は織り込まれてしまっていた。これだけで海外勢が買いに転じるということはないよう
だ。海外ヘッジファンドなどでも、日本株全体というよりも割安銘柄を拾うという姿勢が
目立つ」(国内ヘッジファンドのアナリスト)と話している。