<大きい追加緩和期待>

市場では日銀の追加緩和に期待する声が多い。「これまでのアベノミクスで最も効果があったのは、黒田日銀の金融緩和。このタイミングで追加緩和が発表されれば、インパクトとは大きく、海外勢も日本株投資を再開するだろう」(外資系証券トレーダー)という。

ただ、追加緩和の方法も限られてきている。新発国債をすでに7割以上買い入れており、これ以上の購入は、国債市場の流動性低下という問題をさらに悪化させる。リスク資産のETF(上場投資信託)購入増額が有力視されているが、バランスシートを急拡大させるような巨額の購入は難しいとの指摘もある。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア通貨ストラテジスト、村田雅志氏は、当面、日銀の追加緩和の可能性は低いと指摘する。「今のところ物価は上がっているし、きょう発表の日銀短観を見ても、景気そのものはしっかりしている。その状況で緩和をするのは考えにくい。あるとすれば、来年4月以降、消費税が上がって景気が悪くなるというタイミングまで待たなければならない」とし、円売りという流れにはなりにくいとの見方を示している。