10月1日から口座開設受け付けが始まる少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)が株高・円安を後押しする要因になるのではないかと期待されている。個人金融資産の中で海外に比べ極端に比率の高い現預金から、株式や外国証券へのシフトを促すとみられているためだ。

現時点では、新規顧客の開拓は限定的で、まだ「種まき」の段階だが、運用対象や実施期間などの要件が緩和されれば、イギリスのように利用者が急増するとの期待も大きい。

<100兆円シフトの試算>

初年度で70─80万円程度を投資したい──。9月22日に開催された野村のセミナーに参加した熊崎諒一さん(26歳、会社員)はNISA活用に積極的だ。投資経験はFX(外国為替証拠金取引)のみだが、「まだ独身でお金の自由が利くときにリスクを取り、30─40歳代での余裕ある資産形成を目指したい」と株式や投資信託への投資に興味を示す。

証券会社などの金融機関が熾烈(しれつ)な口座獲得競争を広げているのは、こうした新規顧客を取り込むチャンスであるためだ。日本の個人金融資産は約1500兆円と大きいが、預貯金額の比率が55%と、米国の14%、イギリスの29%、フランスの30%、ドイツの40%などと比べ高いのが特徴だ。