東京株式市場で日経平均は4日ぶりに反発。終値は前日比178円高で高値引けとなった。朝方は前日の米国株安などを背景に売りが先行。先物への大口売りで日経平均は200円を超す下げとなる場面もあった。

だが、前場の取引時間中に政府が法人税の実効税率引き下げを早急に検討すると伝わると急速に切り返し、日経平均はプラス転換。円相場が99円付近まで下落したことも指数の戻りを後押しした。きょうは9月期末の権利落ち日だが、約80円とみられる配当落ち分を即日で埋めた。

アベノミクスへの期待感が再び高まってきた。共同通信は26日、政府が消費増税に伴う経済対策で、焦点となっている法人税の実効税率引き下げについて「早急に検討を開始する」と明記する方向で調整に入ったと報じた。これを受け先物市場で買い戻しが加速。大引けにかけて上げ幅が拡大する展開となった。EPS(1株利益)上昇に直結する法人税率引き下げ報道に海外勢が反応したとみられている。また、きょう行われる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの資産運用見直しを議論する有識者会議で、株式にポジティブな内容が出てくるのではとの期待感も広がった。

米財政問題をめぐる懸念が引き続き重しとして意識されているが、市場では「暫定予算、債務上限、来年の歳出自動削減など問題は目白押しだ。しかし、基本的には妥協が図られリスクは限定的。米財政問題で大きく株価が下がれば買い場になる」(みずほ証券ストラテジスト兼エコノミストの倉持靖彦氏)との強気の見方が出ていた。

個別銘柄では、日本電産<6594.T>が堅調。同社は26日、三菱マテリアル<5711.T>の子会社で車載モーターなどを手掛ける三菱マテリアルシーエムアイ(静岡県裾野市)を買収すると発表した。これを材料視した買いが入った。半面、アドバンテスト<6857.T>が年初来安値を更新。25日、2014年3月期の当期損益(米国会計基準)予想を98億円の黒字予想から一転、25億円の赤字予想に下方修正すると発表し嫌気された。

東証1部騰落数は、値上がり1043銘柄に対し、値下がりが546銘柄、変わらずが104銘柄だった。