最終的な祈願

最終的な祈願

画像の箇所は、『伊都内親王願文』の真の巻末(奥書・年月日と最終的な祈願)にあたる部分です。

左ページの本文結び(先ほど拝見した「解脱」の次)に続いて、日付と諸天善神・神々への祈念が記されています。

以下に**釈文(文字の書き起こし)**、**書き下し文**、および詳細な現代語訳(意味)を整理いたしました。

---

### 釈文(文字の書き起こし)

**【右ページ】**

1. **承和十一年九月十三日**
2. **梵釋四王處取**
3. **廉塢相殿牧**

**【左ページ】**
4. **罡四所大神**
5. **従知證成就**
6. **変劫磐我善**

---

### 書き下し文

> **【右ページ】**
> 承和十一年九月十三日。
> 梵釈(ぼんしゃく)・四王(しおう)、処(ところ)を取りて廉塢(れんう)相殿(あいでん)に牧(おさ)め、
> **【左ページ】**
> 罡(こう)四所(ししょ)の大神(おおかみ)、知(ち)に従(したが)いて成就(じょうじゅ)を証(しょう)し、劫(こう)を過ごして磐(いわ)のごとく我が善(ぜん)を……

---

### 詳細な現代語訳(意味)

* **【右ページ:年月日と仏法の守護神への祈念】**
**承和11年(844年)9月13日**。
仏法を守護する最高神である大梵天(梵天)・帝釈天(梵釈)、そして四方を護る四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)が、この聖なる堂宇(相殿)に鎮座され、永く守護してくださいますように。
* **【左ページ:神々の加護と善根の永久不滅の祈り】**
四所の大神をはじめとする神々が、この供養の真心と智慧を認め、願いの成就を証明してくださいますように。どれほど途方もなく長い年月(劫)が経過しようとも、盤石(大きな岩)のごとく我が積み重ねた善根・功徳が揺るぐことなく保たれますように。

---

### 💡 この箇所の注目ポイント

* **歴史的日付の明記:**
右ページ1行目に「**承和十一年九月十三日**」と明記されています。伊都内親王願文の成立時期を示す極めて重要な史料的根拠となっています。
* **神仏習合と守護神:**
仏教の守護神である「梵釈(梵天・帝釈天)」「四王(四天王)」に加え、日本の神々(四所大神)の名が挙げられており、平安初期における神仏習合の信仰構造が如実に表れています。
* **「承和十一年」の筆致:**
日付の「承和十一年九月十三日」は、本文の流麗な行草書に比べやや力強く落ち着いた線で書かれており、全体の結びとしての格調高さを引き立てています。