結び

結び

画像の部分は『伊都内親王願文』の結びに近い非常に重要な箇所です。寄進の具体的内容(土地の面積など)と、亡き父母への追善供養の祈りが記されています。

以下に**釈文(文字の書き起こし)**、**書き下し文**、および詳細な現代語訳(意味)を整理いたしました。

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### 釈文(文字の書き起こし)

**【右ページ】**

1. **露恒清祥風永扇**(※前ページの「甘露恒清...」からの続き)
2. **仍納墾田四十六町余**
3. **庄一處畠一町陸乙**
4. **香燈轉讀料以充景**

**【左ページ】**
5. **業追福者此二親之**
6. **亡心救諸灑六塵揮**
7. **捎九結咀覓薬八調法**
8. **栖妃二慧攬全枝而承**

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### 書き下し文

> **【右ページ】**
> 甘露恒に清く、祥風(しょうふう)永く扇がん。仍(よ)って墾田(こんでん)四十六町余、庄(しょう)一処、畠(はたけ)一町陸乙(ろくおつ)を納(おさ)め、謹んで香燈(こうとう)・転読(てんどく)の料に充(あ)て、以て景業(けいぎょう)を充(みた)す。
> **【左ページ】**
> 福(さいわい)を追う者は此の二親(にしん)の亡心(ぼうしん)にして、諸(もろもろ)の六塵(ろくじん)を救い灑(そそ)ぎ、九結(くけつ)を揮捎(きしょう)し、薬(くすり)を咀覓(そべき)し、八調(はっちょう)の法、栖妃(せいき)の二慧(にかい)、全枝(ぜんし)を攬(と)りて承(う)く……

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### 詳細な現代語訳(意味)

* **【右ページ:土地や財産の寄進(具体的な内容)】**
甘露は常に清らかに降り注ぎ、めでたい吉風が永遠に吹き流れますように。
このような思いから、ここに**墾田(開墾した田地)四十六町余り**、**荘園一か所**、**畑一町六乙**を(山階寺/興福寺へ)寄進・奉納いたします。これを仏前のお線香・灯火(香燈)の費用、および経典を読誦(転読)する費用に充て、大いなる仏事を全ういたします。
* **【左ページ:亡き父母の冥福と解脱の祈り】**
この功徳をもって福徳を祈るのは、亡き二親(亡き父である桓武天皇、亡き母である藤原乙牟漏)の御霊(みたま)のためであります。
煩悩の汚れ(六塵)を洗い清め、迷いの束縛(九結)を払い去り、仏の法薬を味わい、正しい教えの智慧(二慧)とあらゆる徳をことごとく取り納めていただけますように……

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### 💡 この箇所の注目ポイント

* **数字の記録(史料的価値):**
右ページ2〜3行目にある「**墾田四十六町余**」「**庄一處畠一町**」という記述は、当時の皇室や貴族が寺院へ寄進した財産の規模を具体的に示す、歴史的にも大変貴重な史料部分です。
* **橘逸勢の書法:**
* 「**四十六町**」「**香燈**」などの力強く太い筆致と、漢字どうしが滑らかに結ばれる行草書の連綿(筆脈のつながり)が見事に調和しています。
* 願文全体のクライマックスにあたり、願いの深さと書勢の迫力が一体となった屈指の名場面です。