通常は、食作用後はウイルスが分解されるが、ADEの場合は逆にウイルスの複製が引き起こされ、その後免疫細胞が死滅することがある。つまり、ウイルスは免疫細胞の食作用のプロセスを“誑かし”、宿主の抗体を“トロイの木馬”として使用する。抗体-抗原相互作用の強さが特定の閾値を下回ると、ADEが誘発される[4][5]。この現象は、ウイルスの感染力と毒性(virulence)の両方につながる可能性がある。ADEを引き起こす可能性のあるウイルスは、抗原の多様性、免疫細胞内での複製能力、細胞内での生存維持などの点で共通点を持つ事が多い[1]。

ADEは、ウイルスへの一次ないし二次感染時や(生)ワクチン接種後のウイルスの攻撃によって起こり得る[1][6]。これは主に一本鎖プラス鎖RNAウイルスで観察される。デングウイルス[7]、黄熱病ウイルス、ジカウイルス[8][9]、α,β-コロナウイルスを含むコロナウイルス[10][11]、インフルエンザなどのオルトミクソウイルス[12]、HIV等のレトロウイルス[13]、RSV等のオルトニューモウイルス(英語版)[14][15][16]などのフラビウイルス科がそれに含まれる。