僕のテストでは、その料理の発達振りはバカバカしく幼稚なものであった。微妙な工夫、デリケートな魅力を持たねばならぬはずの「味」は、終に発見し得なかった。味のことばかりではない。まず見る目を喜ばせてくれる「料理の美」がまったく除去されていて、まことに寂しいかぎりであった。アメリカのように新しい国ではぜひもないが、仏・伊のごとき料理国がこれはなんとしたことだと驚くほど意外に感じたのである。しかし、なにかと飾り立てているようなものもないではないが、それが総じて稚拙であり、いわゆる児戯に等しいものであった。まことに意外であった。