頭もなし、知恵もなし、修養もなし、天才もなし――と言った料理人が、今日、料理でもって飯が食っていられるというのは、つまり、彼らよい頭脳の持ち主が、みずから料理づくりに頭を振り向けないからの僥倖である。

出典 『日本料理の要点』