日本の機関投資家が大量の対外資産を抱えていることを念頭におけば、東日本大震災のような「日本に直接影響のある災害」が起こった際の投資家の動きも理解できるようになります。当時の円高の理由としてよく語られている保険会社を例に考えて見ましょう。

保険会社は多くの死者が出た際に大量の円を必要とします。保険会社は外国資産を大量に保有しているため、当然、円が必要になれば外国資産を一斉に円に替え始めます。つまり、大量に円が買われることとなり、円高が起こるのです。

さらに、以上の流れを予測したあらゆる投資家が、投機を見出して(非常に不謹慎なことではありますが)円を買いだし、円高はさらに加速します。

2011年当時はG7中央銀行の介入が起こるほど異例なまで円高が起こりました。(一時は1ドル76円まで買い上げられています。)