告発を受けた警察がすぐには動かず「近日中に会長を呼ぶ」と対応したのも、面白い。早く示談してくださいよ、つまり「有銭無罪」への布石だろう。

 「ナッツ姫事件」は、まさしく同じ社内でのパワハラだったが、ナッツ姫が運輸省の事情聴取を受けることになると、大韓航空グループの社長たちが何人も運輸省に押し掛けた。そして、トイレの清掃作業員を呼びつけて「お嬢様がお使いになるかもしれないから、もう一度掃除をしろ」と命じた。

 清掃作業員が運輸省の雇員なのか、出入りの業者なのかは分からない。ただ、作業員が大韓航空グループの社長たちの指揮命令を受ける立場にないことは明らかだ。

 しかし、作業員は掃除を終えたばかりなのに、改めて掃除をした。“両班様たち”のご意向には逆らえない-そんな社会的風潮、すなわち法律に基づかない今日の身分制度が機能しているからだ。