朝鮮では「性経験のない女性がその80パーセントは斡旋先が売春業であることを知らされずに外地に売られた」と金富子は書いている[79]。「忘八」と呼ばれた遊郭業者は[80]、日本でもしばしば就業詐欺を働き、娘を騙して海外に売っている[81]。『廊清』1937年7月号は「女給、ダンサー募集の美名で女性を偽り、北支・上海などに売り飛ばす不届き者がある」と伝えている[82]。維新政府の娼妓解放令の後も「娼妓達が悲惨な籠の鳥であるという実態は変わらず」[83]、悪徳業者にかかると借金の泥沼から抜け出す事ができず、「まさに前借金の名の下に人身売買、奴隷制度、外出の自由、廃業の自由すらない20世紀最大の人道問題(廊清会の内相あての陳情書)に違いない」と秦郁彦は書いている[83]。伊明淑は「元慰安婦51人の内、31名が誘引・就業詐欺によって募集された」という