沈黙と糾弾会はエセ同和行為の武器
同和対策事業が始まると、窓口一本化で同和対策事業を利用・悪用したエセ同和行為が出始めた。「解同」大阪府連幹部が同和事業用地購入をめぐり、トンネル会社をつくり利ざやをかせぎ大阪地検に逮捕された(一九七〇年)。また、「解同」京都府連の幹部は、土木工事入札で自分に相談がないのは差別だ、として府庁に押しか十二時間にも及ぶ暴力的団交を行った事件(一九七二年)。高知県では「解同」幹部による補助金の横領事件(同年)等々で逮捕者がでている。
同和行政がらみのエセ同和事件の代表格では、「解同」と同和会幹部による“土地転がし”による脱税事件である。十数億円にのぼる脱税事件であった。事件は北九州市住宅供給公社を巻き込んで起きた。その他「解同」奈良県連委員長が国体ラグビー会場用地の“土地転がし”で、一億二千万円を受け取った事件、「解同」や同和会の役員が数十億円規模の遺産相続税の脱税指南をした事件なども後を絶たない。これも国税局と結んだ「確認書」が背景にある。
「確認・糾弾」行為の裏側には「利権事件」があり、表裏一体である。北九州市の場合は、「部落地名総監」を購入した大手不動産会社の「○○地所」が糾弾を受け、この会社が持つ土地が次々に転がった。行政機関が買い上げた時には十数億円の利ざやができていた。一般商業新聞が沈黙を守っていた頃、小地方紙の「小倉タイムス」が事件を追って表面化した。
若干の経緯をみると、イ・県交渉で高度化への支援要求がある。ロ・回答が気に入らないとなると恫喝や糾弾と称して長時間にわたり何回も交渉が行われる。ハ・協同組合の結成から資金の導入・返済計画まで行政関係者が作成する。ニ・事業が失敗しても次から次へと不正融資や事業に対する補助金が支出される、というパターンがある。この種の高度化資金をめぐる不祥事は後を絶たない。また、返済も一般に比して返済率が極端に低いのも特徴で、「返済しなくてもよい」とか「借り入れできない事業内容を粉飾して、融資できるように計画した」等々の問題点がある。類似の事件は後を絶たない。