私は日本の伝統的な建築が学びたくて、この世界に飛び込んだ人間です。ですから暇にまかせては、京都や奈良の茶室、数寄屋などをずいぶん見て歩きました。 そんな折に巡り合ったのが、西岡棟梁のお書きになった一冊の本でした。 これを読んだときの、魂が揺さぶられるほどの感動は、いまも忘れることができません。それ以来、棟梁にお会いしたいという思いが日に日に強くなり、矢も盾もたまらず、当時再建中だった薬師寺へ何度か伺いました。