俺が宮大工見習いをしてた時の話。

だいぶ仕事を覚えてきた時分、
普段は誰も居ない山奥の古神社の修繕をする仕事が入った。

だが親方や兄弟子は、
同時期に入ってきた地元の大神社の修繕で手が回らない。

「おめぇ、一人でやってみろや」

親方に言われ、俺は勇んで古神社に出掛けた。

そこは神社とはいえ、小屋提程度のお堂しかなく、
年に数回ほど管理している麓の神社の神主さんが来て掃除する位。

未舗装路を20km程も入り込んで、
更に結構長い階段を上って行かねばならない。

俺は兄弟子に手伝ってもらい、
道具と材料を運ぶのに数回往復する羽目になった。