曰く、テントの外で話し声がしたので目が覚めた。

夜中に迷惑なヤツだと思い、
テント中の寝顔を確認してから青くなった。

人数から判断する限り、今外には一人しか出ていない筈だ。

恐る恐る外を覗くと、焚き火を挟んで座る影が二つ。

片方は間違いなく友人だったが、もう一方が何かわからない。

人の形をした、黒い塊に見えたらしい。

友人と影は、何度もしつこいくらいに言葉を交わしていた。

どうやら、火を消す、消さないで揉めている様子。

絶対に消すんじゃないぞ!

声に出せない願いを胸中で叫んでいると、
じきに影は立ち上がり山奥へ消えた。