卒業して家業を継ぐという話は、
その時から諦めなければいけませんでした。

その後私たちはバラバラの県で進路につき、
絶対に顔を合わせないようにしよう、
もし会っても他人のふりをすることにしなければなりませんでした。

私は1年遅れて隣県の高校に入ることができ、
過去を忘れて自分の生活に没頭しました。髪は短く刈りました。

しかし、床屋で「坊主」を頼むたび、私は神主さんの話を思い出していました。

今日来るか、明日来るか、と思いながら、長い3年が過ぎました。