Dも出てきて、部屋側から鈍いCを引っ張り出そうとすると、

「イタイタ。引っ張んな足!」とCが叫びます。

部屋の向こうではAらしき声が、わんわん変な音で呻いています。

Cはよほどすごい勢いでもがいているのか、
Cの足がこっちの壁を蹴る音がずんずんしました。

「B!かんぬっさん連れて来い!」

後ろ向きにDが叫びました。

「なんかAに憑いとる!裏行って神社のかんぬっさん連れて来いて!」

Bが縁側から裸足でダッシュしていき、私たちは窓からCを引き抜きました。

「足!足!」

「痛いか?」

「痛うはないけど、なんか噛まれた」

見ると、Cの靴下のかかとの部分は丸ごと何かに食いつかれたように
丸く歯形がついて、唾液で濡れています。

相変わらず中からはAの声がしますが、
怖くて私たちは窓から中を見ることができませんでした。

「あいつ俺に祟らんかなぁ」

「祟るてなんや、Aはまだ生きとるんぞ」

「出てくるときめちゃくちゃ蹴ってきた」

「しらー!」

縁側からトレーナー姿の神主さんが真っ青な顔して入ってきました。

「ぬしら何か!何しよるんか!馬鹿者が!」

一緒に入ってきたBは、もう涙と鼻水でぐじょぐじょの顔になっていました。