正座してたから、体が倒れそうになりながら後に振り向いて、すぐ走り出した。
何か考えてた訳じゃなく、体が勝手に動いたんだよね。
でも慣れない正座のせいで、足が痺れてまともに走れないのよ。
痺れて足が縺れた事と、あんまりにも前を見てないせいで、
頭から壁に突っ込んだが、ちっとも痛くなかった。
額から血がだらだら出てたのに……、
それだけテンパって周りが見えてなかったって事だな。
血が目に入って何も見えない。手をブン回して出口を探した。
けど、的外れの方ばっかり探してたみたい。
「まだいけません!」
いきなり篠塚先生が大きい声を出した。
障子の向こうにいる両親や祖父母に言ったのか、俺に言ったのか分からなかった。
分からなかったが、その声は俺の動きを止めるには十分だった。