林は少し俯き気味に、目線を下に落としたまま瞬きもせず、
口はだらしなく開いたまま涎を垂らしていた。

少し顔が笑っていたように見えた。

時々小さく頷いていた。

俺は瞬きも忘れ凝視していた。

不意にアイツの首が動きを止めた。

次の瞬間、顔を俺に向けた。

俺は慌てて目をギュッと閉じ、布団を被り、ひたすら南無阿弥陀仏と唱えていた。

俺の顔の間近で、アイツが梟のように顔を動かしている光景が瞼に浮かんできた。

恐ろしかった。

階段を駈け降りる音が聞こえた。

林が逃げ出したようだ。