ハーバード大学の昆虫学者ピオトル・ナスクレッキ氏が、数年前の遭遇を最近になってブログで述懐したことで話題となった
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南米北部ガイアナ共和国の奥深いジャングルで、いつものようにキリギリスなどの生息調査を行うために夜のジャングルを歩いていると、ふとカサカサという音に気付きました。
あわててライトを向けると、そこに現れたのは、世界最大のタランチュラ「ルブロンオオツチグモ」だったのです。
「バードイーター(=鳥喰い)」とも呼ばれ恐ろしいイメージを持つオオツチグモだが、実際に食べるのは節足動物がほとんどで、大きいものでもトカゲまで。口吻部の鋏角から毒を分泌するが、治療する必要がないほどの毒性しか持たない。
このふさふさの毛には毒があるのですが、実はタランチュラの毒は極弱いもの。人間だってタランチュラの毒で死ぬことはありません。
しかし、強力な顎で噛み付かれると、人間でも小型犬に噛まれたくらいの痛みがあるのだそう。
もっとも、刺激毛と呼ばれる腹部の微細な毛を空中に放つことで身を守ろうとするため、その点により注意が必要なようです。
腹部にビッシリ生えた刺激毛には要注意。オオツチグモは後ろ脚で毛だらけの腹部を擦ってその毛を空気中に放つのだが、それが猛烈なかゆみを誘うのだ。ナスクレッキ氏も被害者の一人。一番初めにその腹部をこする仕草を「なんて可愛いのだ」と観察してたのだが、刺激毛が目に触れたせいで数日間はかゆくて涙が止まらなかったとか。
南米北東部の現地住民にとっては、ルブロンオオツチグモは貴重なタンパク源のひとつです。
刺激毛を火であぶってから、バナナの皮で包んで蒸し焼きにするというのが一般的な調理法。濃厚な、エビのような味がするのだとか。
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