【トリビアまとめ】部屋を貸しただけでノーベル賞を受賞した人がいる

昔懐かしの「トリビアの泉」を再検証!

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当時の放送より

ノーベル賞といえば、ダイナマイトを発明したノーベルの遺言にもとづき創設された「物理学」「化学」「生理学・医学」「平和」「文学」「経済学」の研究者に送られる、世界で最も権威のある賞であるが、

ノーベル賞に詳しい鈴鹿医療科学大学の石田教授はこう語る。

Q.部屋を貸しただけでノーベル賞を受賞した人がいる?

「1923年に“インスリンの発見”でノーベル生理学医学賞を受賞したジョン・マクラウドのことです。」

1921年、カナダ・トロント大学の教授で糖尿病の権威であったマクラウドの元に、町医者のバンティングが訪ねて来た。

彼は「犬の膵臓から糖尿病を防ぐ物質を抽出したいので、研究生として受け入れてほしい」と申し込んできた。

マクラウドは、紹介者もなくまた糖尿病の権威である自分に対し、誰も成功していない実験をしたいと言った無知な町医者に腹を立て申し入れを断った。

ところがバンティングがあまりにもしつこく食い下がるため、マクラウドはしぶしぶ彼が夏休みで留守にする2ヶ月の間に実験を終わらせ立ち去るという条件で実験室を貸すことを許可した。

こうしてマクラウドがバカンスを楽しんでいる間、バンティングは寝る間も惜しんで実験に没頭した。

そして2ヶ月後。

バカンスから戻ってきたマクラウドは、まだ実験室にバンティングがいたことに激怒したが、「あなたがバカンスを楽しんでいる間に実験に成功した」と聞くと、一転その成果を褒めたたえた。

そしてマクラウドは発見した物質を「インスリン」と名付け、自分の手柄のように学会に報告した。

すると1923年、マクラウドは20世紀最大の発見と全世界から賞賛を受け、バンティングと共にノーベル生理学医学賞を受賞したのである。

石田教授
「その後のほとんどの医学辞典の“インスリンの発見”にはマクラウドの名前はなく、バンティングだけが載っています。」

【補足トリビア】
①フレデリック・E・バンティングは1891年カナダに生まれ。血糖効果作用を持つ物質「インスリン」を発見し、1923年にノーベル生理学医学賞を受賞した生理学者。
②ジョン・J・R・マクラウドは1876年スコットランド生まれ。「インスリン」の発見者の一人として、バンティングと共にノーベル生理学医学賞を受賞した生理学者。
③マクラウドが「インスリン」の発見に貢献したことは、帰省の間バンティングに実験室・助手・犬数匹を貸したこと・バンティングの提案した「アイレスチン」という名前を「インスリン」とラテン語読みにしたこと・「実験の歳に発見したのは助手だが、自分の指揮・管理のもと発見した」と自分の手柄のように学会に報告したことである。
④ノーベル賞を受賞後、マクラウドは周りからの冷ややかな目にいたたまれなくなり、トロント大学を出て行った。

再検証しました

マクラウドは、インシュリンの精製方法の確立に関してはバンティングに協力したので、部屋を貸しただけというのは語弊があります。しかしインシュリンの精製が可能であるとの目処を立てたのは、バンディングと助手として手伝っていたチャールズ・ベストの功績です。

インスリン発見にいたるまでに重要なパートナーとして思われがちなマクラウドは、実はバンティングに自身の研究室を貸しただけなのです。

二人はノーベル生理学・医学賞を受賞することになったのです。当然バンディングはこの結果に怒りを表しましたが、最終的には二人で受賞を分ち合ったのでした。

バンティングはベストと賞金を分け合い、マクラウドもインシュリンの精製に功績のあったコリップに賞金の半分を与えた。

マクラウドは「犬と研究室を貸しただけでノーベル賞をもらった人物」と揶揄されることもあります

ノーベル賞としては異例の早さでの受賞といえます。しかし、ベストが受賞しなかったこと、マクラウドは実験には携わっていなかったことなどから、2人の仲は険悪になりました。

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