メディアは教えてくれない!「地方分権一括法」が地方にもたらした効果

安倍政権が推し進めている地方分権改革。そのおかげで国と地方の風通しも良くなってきている。マスコミが報じない政府の”ポジ要素”を掘り下げていこうと思う。

目の奥が笑ってない さん

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■知ってた?国と地方公共団体の関係性

国と地方ではどちらが強いだろうか?

国は日本全体、地方は国の中の団体という意味合いから「国のほうが強い」と答える人が多いだろう。

もちろんその認識は間違ってはいないが、国と地方が対等な関係になりつつある現在においては少し時代遅れかもしれない。

■国と地方は対等!「地方分権」という考え方

1993年成立。国から地方、都道府県から市町村への権限移譲や地方に対する規制(義務付け・枠付け)の緩和を行うことで、国と地方の関係を対等にしていく改革。

地方分権とは  

・国の事務権限や財源を地方に移したり、
・国から地方(県・市町村)に対する関与を廃止・縮小したり

することで、住民に身近な行政はできるだけ住民に近い地方が行うことができるように、行政の仕組みを変えていこうとする考え方 です。

国の権限を地方に移し、地方公共団体の自治権を高めることでより住民のかゆいところに手が届く行政を目指す考え方。

・なぜ地方分権を目指すのか?

「ここを変えたい」という要望が多くても、国のルールで決まっている部分だとなかなか変えられない。

地元の課題は地元で解決できるのがいちばん。

Q(質問) 国が色々なことを決めると、何か問題があるの?

A(回答) 法律などで、全国一律の決まりを細かく定めているため、地方は、地域の実情に合わせた対応がしづらく、国の決まりに合わせるためにあまり必要のないことが求められたり、本当に必要なことがしづらかったりするなどの不都合があります。

住民のニーズに合わせたいのに国の決まりが邪魔をして身動きが取れない!
というケースも少なくなかったみたい。

国主導のルール決めでは、住民が本当に求めていることとズレてしまうことも。

それを解決すべく、「地方分権」を法制化したものが「地方分権一括法」

■「地方分権一括法」ざっくり説明

地方分権一括法の施行により、地方公共団体は”国家の下請け”ではなく、国と連携を取りながら”自立”する団体になった。

正式名称は「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」。地方分権を進めるため,地方自治法や国家行政組織法など,地方自治にかかわる 475の法律の改正を一括して行なった法律。1999年7月成立,2000年4月施行。

平成30年に第8次改正法が施行されるなど、現在も精力的に法改正に向けた協議が進められている。

主従関係にあった国と地方公共団体を対等な協力関係とするのが目的で,地方分権推進委員会(→地方分権推進法)による勧告を具体化した。

国⇒地方ではなく、国⇔地方にすることが目的。

・「機関委任事務」が廃止された

国が地方にやらせていた事務。
この事務が地方公共団体の負担になることも多かった。

地方分権一括法の施行により、これまで中央集権型の行政システムの中核的部分を形づくってきた機関委任事務制度が廃止されました。

従来の機関委任事務は、国の直接執行事務とされたもの及び事務自体が廃止されたものを除いて、自治事務と法定受託事務という新たな事務区分に整理されました。

また、これにあわせて団体委任事務等の区分も改められ、自治事務に整理されました。

自治事務と法廷受諾事務はいずれも地方公共団体の事務となったことで自己決定権が広がり、これまで以上に住民の意見を反映させることができるようになった。

・具体的にどんなことができるようになったの?

国の統一基準では街の道幅や住民のニーズに合わないことがある。

県や市町村でルールを決めることで、より自分たちに合った道路整備ができるようになる。

※埼玉県の事例

以前はパスポートを発行できる場所が県で1か所しかなかったが、現在では各市役所で発行できるようになった。

わざわざ遠出しなくてよくなったのはとても便利。

※埼玉県の事例

■安倍政権が進めた法改正、変わったことは?

・地方公共団体が政府に「提案」できるようになった

2014年からスタートした制度。
地方公共団体が権限の委譲・規制緩和などについて国に制度改正を提案することができる。

内閣府と各省庁で調整したのち、整ったものは改正法に反映される。

新たな局面を迎える地方分権改革においては、地方の発意に根ざした取組を推進することとし、委員会勧告に替わる新たな手法として、個々の地方公共団体等から地方分権改革に関する提案を広く募集し、それらの提案の実現に向けて検討を行う「提案募集方式」を導入しています。

地元の課題を国に共有するチャンス!

以前は国の委員会が勧告を行っていたが、現在では地方公共団体が国に直接提案できる。

住民の声が国に直接届くのは、住民にとっても地方の現状を知りたい国にとってもメリットが大きい。

政府は提案内容の充実や課題解決に向けたアドバイスの場として「事前相談」を設けている。
事前相談を行うことで提案事項の整理もできるため、課題解決のビジョンも見やすくなるだろう。

・災害対策基本法の改正⇒被災地域への応援がスムーズに

一刻を争う事態、応援要請もダイレクトに。

〔災害対策基本法〕
①被災都道府県からの応援の求めを受けた都道府県が、その区域内の市町村に対して被災市町村への応援を求めることができることを明確化

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第66号)による災害対策基本法の一部改正

国の要請を待たずとも地方同士で連携を取り、スムーズな支援を行うことができる。

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